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zoom RSS 中島みゆきの『時代』に思ひを寄せる

<<   作成日時 : 2014/09/23 16:15   >>

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 中島みゆきが『時代』といふ歌を1975年に作詞作曲して発表した。当時の私は若干24歳で、福岡に居たと思ふ。なぜ思ふと書いたかと言へば、この頃の私は東京の商社を辞めて都落ちし、郷里の佐世保に戻り、そこから縁があつて福岡に短期滞在してゐたが、私の気持ちは落ち込んでゐたし、その所為もあり、あまり思ひ出しくない時代だつたからであらう。

 それから数へて36年経つた2011年3月11日、東日本大震災が発生した。多くの人達が津波にさらはれて、愛する人達をなくし被災地に残された人達は、明日から生きて行かうとする希望さへも失ひかけた。

 言葉で説明する事の出来ない絶望があつた。そんな時、中島みゆきの『時代』を、女性自衛官が被災者を慰めるために歌つた。http://youtu.be/tJp1A2n_Y0A

  今はこんなに悲しくて
  涙も枯れ果ててもう二度と笑顔には
  戻れさうにもないけど

  そんな時代もあつたねと
  何時か話せる日が来るわ
  あんな時代もあつたねと
  きつと笑つて話せるわ
  だから今日はくよくよしないで
  今日の風に吹かれませう
  回る回る時代は回る
  喜び悲しみ繰返し
  今日は別れた恋人達も
  生れ変て巡り会へるよ
  ・・・

 私はこれを偶然にYouTubeで発見し、何度も何度も聴いた。聴くたびに胸の中に熱いものが込み上げて来た。

 ところが、当の中島みゆきは、東日本斷震災の被害者を慰めるとて、この思ひ入れの深い彼女自身の曲を歌つたとは聞かない。

 私には分る。彼女の気持ちが透けて見える気がする。

 人が絶望のどん底にゐる時、どんな言葉も詩も曲もなんら慰めにならないばかりか、更に悲しさが重くその人に圧し掛かり、時に、そんな励ましが逆の効果を生む事しばしなり。涙さへ出ない。目は虚ろになり、何も見えない。あんなに感動した歌が心を突き刺す。希望が見えない状況の時に、希望を持てといふのは、拷問に等しい。

 鬱病患者に「頑張れ」という励ましの言葉を言つてはならない。何故なら頑張れないからこそ気持ちが落ち込んでゐるからだ。被災者の多くは、お金がない、住む家がない、愛する家族がゐない、食糧も水もない。こんな状況で何が希望だ、頑張れだ。被災者ではない健康な人達は、往々にして被災者の心が読めない。

 私は女性自衛官を責めてゐるのではない。彼女は立派だ。あの思ひやりに私は感動する。私は彼女の真似はとうてい出来ないし、そんな実力もない。出来る人が動いてくれてゐる。彼女のように歌で被災者になんとか寄り添ふ自衛官もゐれば、放射能汚染を覚悟で原子力発電所復旧のために体を張つて働いた自衛官もゐて、更に不眠不休で被災者の救済を行つた自衛官がゐた。私は彼らに心から敬意を表する。

 同時に、私は中島みゆきを責める気はさらさらないし、『時代』を歌つた女性自衛官との比較もしたくない。比較なんておこがましくて出来ないし、不可能だ。

 私は中島みゆきが作つた歌をたくさん聴いている。歌詞と歌の妖気に私は何度も当てられた。あの人が歌う時、それはある程度彼女の心の葛藤を乗り越えようとする気力が生まれているからであらう。彼女が本当に落ち込んでゐる時、彼女から詩は生まれて来ない。それはBlack Holeのやうに暗黒の闇の中と似てゐるであらう。

 私も鬱病に苛まれた経験がある。だから良く分る。

 『そんな時代もあったねと、何時か話せる日が来るわ・・・』と言へる時、その人の精神はやうやくどん底から上がり始めやうとしてゐる時であり、この言葉は他人ではなく「自分」に言つてゐる。他人に励まされるより、自分で自分を励ます方が良い。そしてさういふ気力が出始めてゐる。

 『時代』は中島みゆきが自分に向つて訴へてゐる曲なのだ。だから、彼女はこの歌を被災者に向けて歌ふ事は出来ない。私はさう思ふ。

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